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【第50回教育者研究会】新潟県長岡会場で開催(7月27日)


 平成25年7月27日、新潟県長岡市のアトリウム長岡において、「思いやりの心を育てる〜生きる力の根っこを育てる〜」をテーマに教育者研究会を開催(後援:文部科学省・新潟県教育委員会・長岡市教育委員会)。来賓に近藤朗:新潟県教育委員会義務教育課長、講師に若林孝宣:モラロジー研究所教育者講師、蓮池薫:新潟産業大学准教授を迎え、保育・幼稚園、小・中・高校の校長や教諭を中心に約90名が参加しました。  


 【来賓挨拶並びに講話】
 来賓の近藤朗:新潟県教育委員会義務教育課長は、「心の教育について〜道徳教育やいじめ問題等への対応〜」と題して講話を行いました。
 まずは、スポーツ選手の心の持ち方や個々のやる気を引き出す指導者の事例、最近の政府の教育に関する動き等を見ながら、「教育は、子どもたちの夢と希望を紡ぐ尊い仕事。心の教育の重要性はますます高まっている」と発言。そのうえで今年度、県教育委員会が掲げている「学校教育の重点」の中から、「豊かな心を育む道徳教育の推進」について説明し、●自校の道徳教育の課題を明確にし、全教職員が協働実践して子どもたちの道徳心を涵養していくこと、●子どもたちが自分の考えを表現する機会を充実させ、自らの成長を実感できるような授業づくりを行うこと、●道徳の授業の公開や地域の人材を活用した授業を実施すること等が重要であると語りました。
 さらに「学校教育の重点」の中から、「いじめ見逃しゼロ県民運動」についても紹介。平成19年より「いじめ根絶にいがた県民会議」を組織し(後に「深めよう 絆 にいがた県民会議」に名称変更)、学校・家庭・地域社会が連携して子どもたちの社会性を育成するとともに、いじめをはじめとする諸問題の解決に向けて取り組んでいることを提示しながら、「これは県民ぐるみで行うものであり、全国でも類を見ない注目すべき活動」と力強く語りました。

 【講演】
 若林孝宣:モラロジー研究所教育者講師は、「今、教育者に求められるもの」と題して講演。「1.先生方に期待すること」では、(1)品性の向上、(2)プラス思考で生きる、(3)手本になる先生をもつ、(4)人格の陶冶、の4つを、「2.児童・生徒に知ってほしいこと」では、(1)心が人生をつくる、(2)我々は生命のリレーランナーである、(3)感謝の念をもつ、の3つを、さまざまな考え方、格言などを交えて語りました。
 中でも、「1.先生方に期待すること」の(2)プラス思考で生きるにおいては、次のような体験談を披露。高校のクラス担任を務めているとき、ある生徒が刑事事件を起こしてしまい、若林講師は警察への対応や県、学校、PTAへの報告等さまざまな対処をしているうちに疲労で倒れてしまった。「自分は教員に向いていないのだろうか」と布団の中で悩んでいると、お見舞いに訪ねてきた先輩のW先生から、「よかったね、この事件はあなたが生徒と向き合うよい機会になるよ」と言われ、初めて「自分は生徒より自分の保身ばかりを考えていた。学校を続けられるだろうか、と。俺には生徒という大切な存在がいるんだ」と気づかされた。その後、その生徒と一緒に職員室やトイレの掃除をすることで、対話を重ね、生徒と心からわかりあえた、と言います。若林講師が、「物事は常にプラス思考で考えるべき」「幸福は自分からアクションをしていかなければ手に入らない。教師としての幸福は生徒としっかり向き合うことから始まる」と続けると、会場では多くの人が頷く姿が見られました。
 最後に、「心づかいが行動をつくり、行動は習慣をつくり、習慣は品性をつくり、品性は運命をつくる。すなわち、運命は自分がつくるものである」と述べ、講演をしめくくりました。
 

【特別講演】
 蓮池薫:新潟産業大学准教授は「夢と絆〜生きる上で何がもっとも大切か〜」と題して講演。昭和53(1978)年に北朝鮮によって拉致された際の状況や、24年間にわたる北朝鮮での暮らし、その時の心情、平成14(2002)年の帰国をめぐる動きなどについて語りました。
 蓮池さんは拉致によって、命以外のすべてが奪われました。中でも恨めしく思ったのは、家族や友人との絆、将来どう生きるべきかという選択の自由が奪われたということでした。それでも拉致から1年9か月後、孤独と絶望の中で一つの転機が訪れました。一緒に拉致された恋人の祐木子さんとの結婚です。北朝鮮で一つの絆ができ、二人の子供も誕生。これにより、北朝鮮でいかに子供たちを立派に育てるか、ということが人生の目標となりました。
 子供を育てるためにしたことは、一つは子供が6歳のときに自分たちの住む「招待所」から100数十キロ離れた全寮制の学校に入れること。「招待所」は拉致被害者が住むところであり、北朝鮮にとっても秘密とされ、「招待所」から学校に通うことは許されなかったのです。また、北朝鮮の中で日本人として生きていくことはできないため、子供には朝鮮人であると経歴を偽って育てなければならず、また食糧難が進み、子供の健康状態にも大いに気を配らなければなりませんでした。その一方で、子供にしっかりとした学力を身につけさせようと英語を徹底的に勉強させたり、息子に体力を鍛えさせたりしたほか、道徳についても厳しく指導しました。これは、北朝鮮では首領を崇敬する思想が社会を覆っているが、現実の社会で生きていくには、やはり人間関係が大事であり、道徳心、思いやりの心を持つことが大切だと考えていたからでした。
 子供への思いを張り合いに過ごす中、急遽、拉致問題が進展し、日本へ帰国。当初は北朝鮮に残してきた子供のために、北朝鮮に戻ることを考えていたが、将来のためには自分が日本に残り、子供を日本に奪還することが大切だと考えを変えました。現在、子供は日本で自分の夢を求めて頑張り、自身も朝鮮語の能力を生かして夢を持って働いている。人生で最も大切なことは夢を持つことであり、家族をはじめ、人との絆を保つことだ、と語りました。


【シェアリング、質疑での参加者の声】
 「(拉致被害にあった蓮池講師が前向きに生きてこられた話を聞いて)絶望の淵にあっても、夢や希望を忘れてはならないことを学んだ」「相手のことを一心に思う親や先生の姿が、子どもたちの心に大きな影響を与えることを改めて学ばせてもらった」「3人の話に共通するのは、品性を高める、思いやりの心を育てる、恩を忘れず感謝することが人として生きていく上で大切だということ。道徳の必要性を裏づける素晴らしい話だった」など、さまざまな感想が寄せられました。

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