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特別講演を開催 近藤誠一 氏  「文明の未来と日本 」

近藤誠一 氏

  平成26年11月2日(日)、モラロジー研究所廣池千九郎記念講堂において、特別講演を開催しました。講師は前文化庁長官、麗澤大学比較文明文化研究センター客員教授の近藤誠一氏。近藤氏は「文明の未来と日本」と題し、現代の地球の国家・文化を俯瞰して、世界に広がる混沌に共通する原因を探り、数々の問題点をいかに解決していくかを模索。その中で日本の文化の力に着目し、解決のヒントについて話しました。今回はモラロジー生涯学習講座の受講者と一般参加者、あわせて235名が聴講しました。

世界を覆う多くの問題とその解決に近づく道とは

 はじめに、子供のころに母親から「あなたはよい時に生まれました。国連ができて、もう戦争はない。みな民主主義の下で自由でのびのびと生活ができる。日本も今は貧しいが、頑張れば豊かになることができる。それが自由にできる世界になった」と言われてうれしくなったというエピソードを紹介。しかし、戦後70年が経った今、はたして母親が言っていたような世界が現実にあるのかと、疑問を提示しました。

 近藤氏は、「現在の世界は、金融危機・テロ・温暖化・原爆等の大量破壊兵器の存在・貧困や飢餓・新興大国による秩序へのチャレンジなど、多くの問題を抱えている。国連を構成している平和の体系を守るべき近代国家が、その憲章に明らかに反した行動をとっている。こうした問題を見たとき、多くは人間が招いたものであることがわかる。これらの問題は、つくろうとしてつくったわけではなく、物質や権力を人間が欲した結果として現れてきている。利己的な短期的な視野によって多くの人間が行動したため、たとえよい制度である民主主義もうまく機能していない」と述べました。

 諸問題を解決する道として、世界に広がる文割統治に表れる負の遺産(先進国が策定した人為的な国境が原因となる紛争)を例に挙げ、“近代”の諸制度が本来の機能を果たしていない現実があり、問題の原因となっている“近代”を見直す必要があることを確認しました。見直すためには、自然から今一度学ぶ必要があり、科学・物質主義の枠外にあるものの価値を再認識する――理性を否定せず、感性の力を取り戻す――が重要であり、日本は解決に向けて貢献できることを、人と自然の調和や二元論の排除、目に見えぬものに価値を見いだす文化性を挙げて強調。日本人の一人ひとりが高いモラルを持ち、モデル国家として道徳の大切さ世界に示すことが重要であり、それは時間がかかるようにも見えるが、他に選択肢がないと述べました。そして、欧米やアジアにも日本と共通する類似の文化が存在する例を紹介しました。

 最後に、文化の力は軽視される傾向があるが、日本の底力は固有の文化にこそ宿っており、たとえ経済が衰えても日本文化によって支えることができると伝え、講演を結びました。

近藤 誠一(こんどう せいいち)


 昭和21(1946)年、東京大学教養学部を卒業後、47年外務省入省。オックスフォード大学留学。本省で経済、広報文化交流などを担当。駐米国大使館公使、ユネスコ代表部大使、駐デンマーク大使を歴任。その間、パリにあるIEA(国際エネルギー機関)とOECD(経済協力開発機構)の事務局勤務のほか、通産省(当時)に出向。平成22年より25年まで文化庁長官。退官後は、近藤文化・外交研究所を設立したほか、外務省参与(国連関係)を務める傍ら、東京大学特任教授、東京藝術大学客員教授、慶應義塾大学特別招聘教授、同志社大学客員教授、星槎大学客員教授に就任。長野県文化振興事業団理事長等も務める。『FUJISAN世界遺産への道』(毎日新聞社)など著書・論文多数。

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